いよいよ4月1日から熊本市中心部における「熊本市客引き行為等の禁止に関する条例」が全面施行されますのでそのことについて、お話いただきたいと思います。
①(熊本市防犯モデル地区推進委員会:木﨑会長)
昭和40年9月に「新市街防犯モデル地区推進委員会」という名前で発足しました。当時は全国で8か所指定されており、北は札幌のススキノから新宿の歌舞伎町も入っておりまして、一番南が熊本でした。
それから50年以上が経ちますが、活動が継続しているのは熊本だけと聞いています。「中心商店街とそれに関わる人達で組織する」という会則のもと、中央警察署の署長が委嘱する形になっており、民・警協力のモデルケースです。
②(すきたい熊本協議会:松永会長)
熊本の中心部のにぎわい創出を官・産・学・民で一緒にやっていこうという会です。特に交通体系について考えたり、これからの街の在り方について勉強しています。また、現在は独自イベントとして火の国まつり時の「一斉乾杯」を運営しています。将来的には桜町地区のマネジメントができればと考えています。「学」との連携に関しては、熊大工学部のまちなか工房にもメンバーに入ってもらっていますし、各商店街や民間の大手企業の熊本支店などにも参加していただいている会です。
③(中心商店街等活性化協議会(以下、中商協:安田会長)
私たちの会は、九つの団体から成っています。中心市街地で開催される「ゆかた祭」と「銀杏祭」という大きなイベントの運営を行っています。そのほか街中では色んなイベントが開催されていますが、それらは全て当会の中の「道路空間利活用会議」の中で審査・承認を行っています。また、防犯モデル地区推進委員会と一緒に街中のパトロールと清掃も行っています。
木﨑会長 当会で毎月会議をやっていますが、熊本地震発生直前の平成28年4月13日の会議の中で「街なかの客引きが増えてきた」「(客引き行為を行う)ガールズバーが問題になるだろう」ということが既に話にあがっており、地震前から今後の課題として懸念されていました。その後発生した熊本地震の後に、街なかのにぎわいとともに、県外からの客引きが流入して目立つようになりました。
松永会長
以前から客引きやちょっとしたぼったくりについては発生していていましたが、件数は多くなく、大きな問題には至っていませんでした。しかし、熊本地震後、復興関連で来られた県外の業者の方や補助金や保険金等で一時的にお金を多く持った方の多くが、ぼったくりの被害にあわれてしまい、数が一気に増えたようです。何でも普通の金額の10倍や20倍の金額のぼったくり被害にあっていたそうです。県外の方にも非常に迷惑がかかりました。ぼったくり業者同士の喧嘩や抗争も起こり、傷害致死事件まで発生してしまいました。これは大変だ、ということで、熊本市防犯モデル地区推進委員会に先頭に立ってもらい条例を作る流れになりました。
安田会長 条例を作る前に、対策審議会を立ち上げたのですが、2016年10月に客引き被害の実態調査を行った結果、週末は、下通・新天街地区が11件、2番街地区が44件、3番街地区が39件という数字で、特に下通エリアに集中しました。それを踏まえて、条例策定につながりました。地震後に復興関連で他県から来た業者が狙われたようですね。
木崎会長 まず、条例策定のための協議会を立ち上げる前に、中商協の会議などに何度か参加して、街の全体的な課題について聞きました。そこでもやはり、客引きの問題は大変な問題だということで、当会の副会長の中には田尻さんはじめ中商協のメンバーもおられるということで、中商協と連携して協議会を立ちあげることになりました。城東校区自治協議会やすきたい熊本協議会、熊本県社交飲食業生活衛生同業組合など18団体で立ち上げました。
熊本市長、熊本市、熊本市議会議長、中央署署長、県の生活安全部長など各方面に要望書を持っていきました。
~警察に取り締まっていたただくにあたって、法整備が必要ということで条例制定になったんですか?
木﨑会長 客引きやぼったくりの件で街なかの皆さんが困っている、多くの店が実害を被っているということを中商協の会議で聞いていましたので、実際取り締まるにあたっては法的根拠が必要ということで動きました。平成29年の11月頃に当会の会議で提案し、熊本市の条例策定へ向けてすすめることになりました。やはり、街なかの現場の皆さんの声を聞いていたことが一番大きかったですね。
安田会長 客引きに関する110番通報の調査をやっていますが、平成28年が149件、29年が537件、30年が1186件と年々増えました。検挙数も平成28年が7件、29年が16件、30年が29件と増えました。現在は少し落ち着いています。
~どんどん多くなっていったんですね・・・
松永会長 110番通報がどんどん増えていったというのは一番の問題だと思いました。通報があるような悪質なことが増えると自然と規制せねばならない、という話になりますよね。
木﨑会長 以前から当会と中商協とで連携がとれていたから、特に苦労は感じませんでした。密な連携がとれたので非常にスムーズに策定まですすめることができました。
松永会長 行政と警察の連携が重要でした。熊本市の中に生活安全課があって、そちらには熊本県警の方が派遣されています。市と一緒に条例を作るうえでその方々に尽力してもらったことが大きかったですね。
~市の方々が商店街の皆さんをよくご存じの方ばかりでしたもんね。
安田会長 熊本中央署に下通を大がかりに警備をしていただいたことも大きかったですよ。下通の方でも、アーケード内のアナウンスで客引きの注意を繰り返し行っていただいていました。
木﨑会長 熊本市が行っている周知活動に協議会メンバーで参加しています。毎週金曜日5時半~9時半ごろまで街なかでチラシを配布したり繁華街すべての店舗に個別訪問して呼びかけています。
~お店や通行客の方の反応は?
木﨑会長 スタートまで1か月を切りましたが、客引きの人たちはまだやっているので、自分達のことだと思っているかどうか心配な部分はあります。街中の環境を良くしていくためには厳しい気持ちで取り組まなければならないと思っています。
松永会長 根強くチラシ配りなどでしっかりと周知徹底をして、また客引き行為をやっている方たちに自主的にやめてほしいと思っています。おかげ様で少しずつ減ってきています。
木﨑会長 引き続きチラシ配り等で客引きをしている人、客引きを雇っている人、一般の方それぞれに周知活動を行っていきたいと思います。
木﨑会長 毎月夜間パトロールをやっていますが、今後客引きが禁止されると、集客のための看板の増加が予想されるため、注視していきたいと思います。
安田会長 しっかりと状況を検証して、対策を練っていきたいと思います。
松永会長 街中に乱立する違法看板について何とか条例ができないかと思っており、今後も中商協や熊本市防犯モデル地区推進委員会と連携をとっていきたいです。放置自転車に関しても条例ができた後にかなり改善されたので、違法看板について話し合いながら条例などができれば、よりきれいな街づくりにつながると思います。
~本日はお忙しいところ、誠にありがとうございました。