これはお客様に対して、というよりもうちの社員やスタッフに常々申し上げていることなんですが、「何でお店があるのか？」「何で人が介在しているのか？」。モノを買うだけだったら、今の時代、インターネットで買うのが安いし、手っ取り早い。でもお店を回転させ、そこにスタッフがいて、商品が並んでいる－そこの存在意義を感じて欲しいと思っています。お客様から「必要とされていること」への感謝ですね。「人」が一番大事だと思うんですよね。だからお店に来ていただけるんだ、と。ただお金をもらって、モノをお渡しして商売をするわけではなくて…。正直、うちでモノを買わなくても、同じようなモノがいろんなところに売ってあったり、ネットにもあるとは思うんですが、そこは専門店としてなのか、150年以上の老舗としてなのか、まぁやっぱり「帯屋で買い物して良かったな」と言っていただけるような…。

私は絶対的に『着物選びは店選び』だと思っています。また専門店の提議とは、専門商品がたくさん並んでいるということもあるとは思いますが、働いているスタッフが専門職でないと、専門店とは言えないと思っています。ただモノを売るだけでなく、『なぜあなたがこのお店で働いていて、お客様と介在しているのか－』少し大きくなる話しかも知れませんが、やっぱりやりがいというものは、お客様が想定していないご提案やコーディネートができれば、大変ご満足いただけるんですよね。着付けのお手伝いもしていますが、今の時期だと浴衣でお出かけされることが多くなると思いますが、私たちが取り扱っている「着物」を通じて、その思い出の一部をお手伝いできる－そういったことを心がけて、お客様に接するようになれれば、といつも考えています。

これから七五三や成人式・卒業式のシーズンになると思いますが、四季ごとの提案の際に、帯屋で衣装をお決めいただき、お写真を撮り、記念の日を迎える、といったお客様の節々や一生に一度思い出ののお手伝いをさせていただくことが、非常にやりがいがあると思います。